Lost in Summer

おれの精神テンションは今、受験時代に戻っている。
パーリーピーポーが最も活性化する季節、夏。
一歩外に出れば、スーツケースを転がすパーリーピーポーが。部屋の中には害虫が。
とてもではないが、受験勉強をする季節ではない。
この輝かしい季節に勉強なぞというものをしている人間は東大生か、おれぐらいである。桜餅が言っていたから間違いない。

一人で受験勉強をしていると、起きている間にする行為としたら「勉強」一択なので、必然的に一日の「思い出」となるものが無に帰する。
よって、寝ている間にする経験、すなわち「夢」の中での経験が脳内での「最近の思い出アルバム」の多くを占めることとなり、現実と夢がごっちゃになる。
現実には存在しなかった会話をふと思い出したりする回数が増える。
というより、思い出すことの大半が夢の中の出来事という始末に陥る。

パーリーピーポーは今の時期なにやってんの？
夏は海とか花火でしょ、冬はスノボーじゃん
春は花見とかすんじゃない？
秋は？
・・・・・・・
さては暇だなぁ！
あいつら、秋、暇だな！さては！

という一連の会話をさっき思い出して一人ウフフと笑っていたのだが、これは夢か現か。


月の爆撃手   矢吹丈