尾ひれ100%ブログ

服に7つのシミを持つ男プレゼンツ

それをいいたまうなかれ

拝啓
火曜日、念願のレポート提出を果たして鼻水を撒き散らしていたおれだが、余裕と見ていた金曜の発表がわりとイカチくて死ぬかと思った。単純に死ぬかと思った。
おれは物心ついた時から、余裕綽々大魔王の素質があり、何かしなければならないことがあっても決まって口笛を吹きながら余裕をかます悪癖があった。
ケツ毛が生い茂るあまり、尻に火がつくまで時間がかかるのだ。
しかし、一度火がつけば、ケツ毛が繁茂しているだけあってその火力は凄まじい。
これはおれが唯一自分で誇りに思っていることだった。
つまりその、ケツ毛が濃いことだ。
いや、実際ケツ毛はさほど濃くないぞ。大村潤平のそれに比べればおれのなんぞ爆風スランプもいいとこだ。(←どういうことか説明しなさい。解答:爆風スランプのボーカルはツルッパゲであり、大村潤平は物凄いケツ毛が濃いということ。)
Anyway、金曜の発表に関してもおれの尻に火がついたのは前日だった。というよりそれで間に合うと踏んでいたから、それまで火をつけようともしなかった。
だが、とんでもない。中間レポートをサボったことにより、その作業量はビル・ゲイツの一生分に相当するかに思われた。
たかが10分程度の余裕綽々プレゼンなのだから、おざなりに済ませばよいものを、おれの学術的探究心もとい要領の悪さがそうはさせない。
おれは昔から授業中の「内職」とか、小テストの「カンニング」とかができないタイプの人間だった。
一度に二つ以上のことを考えられない。
だからおれの人生では常に「開き直る」ことが求められてきた。
だからおれは授業中に林檎を食べるときも堂々と、小テストの問題がわからない時も堂々としていた。堂々と白紙で提出した。
その時も開き直るべき時だった。
正攻法で研究するより他なし。間に合わなかったらその時はその時と考えるしかない。
お昼頃から夜が明けるまで、奮闘した。(ほんとは途中「ビル・ゲイツvsスティーブ・ジョブズ」というNHKの録画していた特番を観た)
だが運の悪いことに金曜日はその発表の授業の前にも試験があった。
そちらの勉強は、過去問の答えをレジュメを基に埋め、丸暗記することで事なきを得た。本来余裕綽々な作業だが、その朝ばかりは一口ゲロも止むを得なかった。
だが発表のほかにレポートもあることを思い出したのもその日で、あわや切腹といくところだったが3限の空きコマでなんとか書き上げた。もしも尾ひれ100%ブログで日々筆力の鍛練(主にタイピング技能)を積んでいなかったらとても間に合わなかっただろう。
発表の準備もレポートも大分内容はウンチだがいちおう形にはなったので、後はウンチを教授に叩きつける勇気を持てばいいだけだ。
実はおれはウンチを人に叩きつけることには人一倍長けていた。
それぐらいの精神がなければ、これほど罪悪感なしにバイトのバックレを鮮やかに行えまい。蝶のように応募し、蜂のようにバックレる男。
おれは単位さえ貰えれば大隈重信銅像にウンチを叩きつけることすら厭わなかった。
しかし、発表が始まって他の人の研究成果を聴くうちに、自分のこしらえたウンチが如何にチッポケなウンチであるか思い知らされていった。
ここ最近になってやっと自分が早稲田大学にいることを自覚し始めた。
周りの連中はシッカリ頭が良いし、文学への興味が溢れている。
それもそのはずで、日本文学科とは基本的にアホな成績をとっていては進級できないはずの学科だからだ。
おれが進級できたのは、ただ単にケツ毛が濃かったからに過ぎない。
クラスのほとんどが頭の良い人間で構成されているところは、おれが高校2年で入れられた「理系高習熟度クラス」の様子に似ている。
あいつらは標準装備として数学100点機能を備えていたし、マイケル・ジャクソンを練習しすぎて文化祭の本番で観客をドン引きさせた。
我々は文化祭のクラスパフォーマンスでマイケル・ジャクソンを踊ったが、ただ単に個々のダンスのクオリティを高めることに徹したために、全体の見た目としては全くもって面白くないものに仕上がっていた。
桜餅亮などは練習しすぎて今でもまだその振り付けを覚えており、たまに気分がのると、突然踊り出して、困る。
高校2年の時おれはその周りの意味不明な数学的センスを見て、絶対にこいつらには勝てないと実感した。
今思えば、おれは生粋の文系男だったのだから敵うワケがないのだが、Anyway、おれは当時その揺るぎない敗北の事実に絶望し、なんやかんやあって学校を辞めるまで至った。
早い段階で負けを認めたことは賢明だったと思う。
全国の文系人間に言いたいことは、三年前に覚えたマイケル・ジャクソンの振り付けをまだ覚えているような奴にお前が勝てると思うなということだ。
かの武田信玄も敵を選んだから強かったのだ。
しかし、今回苦戦している相手は選んだ上での敵だ。
学問において文学ぐらいしかおれに勝ち目のある分野はあるまい。
ならば戦うべきだ。
そう、今やるべきはマイケル・ジャクソンのMVを見ることだ。


「キング・オブ・ボンプ」オスギン・チャクソン