尾ひれ100%ブログ

服に7つのシミを持つ男プレゼンツ

第一回 野茂英雄のお料理講座

おれこと矢吹丈のウィーク・ポイントは、部屋が絶望的に汚いことと、またそれに伴い作る飯も絶望的に汚くなることだと自覚している。
なので、いくらマトモなことを言っても、「でもおまえ部屋汚いじゃん」と反論されればグゥの音もでない。その時は血走った両の眼(まなこ)で虚空を睨みつけるばかりである。

今日はそんなぼくの手料理を紹介したい。
かといってその意図とは、おまえらおれのこと舐めてるけどこれだけ料理ができるんだゼ、という釈明ではなく、むしろ逆にある。正直料理は死ぬほどできない。
なかやまきんに君が「筋肉料理研究家」ならば、おれは「残飯料理研究家」を名乗りたい。

今日つくったものはこちら
「パンケーキ」です。

パンケーキを作るのに、必要なものはなんですかそう、フライパンです。
私がゴハンを作ろうとして、フライパンを使用しなければならないレシピは、もうその時点で汚いことが決定します。諦めるしかない。(注1)

(※注1 残飯料理研究家の多くはフライパンに始まる食器類すべてを洗わない)

フライパン以外にもいろいろと必要です。
ボウル。泡立て器、フライ返し。
しかしこういったものはうちにはない。あるのは菜箸これのみ。(当時、一人暮らしの男性が持つ食器としてはかなり優秀な部類に入る)
菜箸とフライパンでパンケーキが作れるか!作れません。

【おもしろなぞなぞ】
Q. パンはパンでも作れないパンは?
正解:パンケーキ

さすがのぼくでもそれぐらいはわかる。
パンケーキを調理する上で最も重要とされる工程、「ひっくり返し」ができないことは致命的だ。
そう思い、昔購入したパンケーキのもと、これは長い間汚い部屋の片隅にしまわれたままだった。
しかし今日、無性に甘いものとか、あむぁ~いものとかを食べたくなったおれは、作れないのは承知でパンケーキを作ろうと思った。

ボウルはどんぶり茶碗で、泡立て器は菜箸で代用できた。常識的な見方をすれば、できていたかは怪しい。
フライ返しの代用品に関して何のアイデアもないまま、かき混ぜた材料をフライパンに注いで熱した。
ぷつぷつと泡が出てきたら、ひっくり返しどきである。それぐらいはおれでも知っている。
ものの数秒で泡は出てきたが、いやいや、こんなに早いわけがないだろう、騙されないぞ、と思ってしばらく見の姿勢を貫いた。
しまじろうの付録のビデオに、パンケーキを作る話があったのを思い出したりとかしていた。
これでもかと言わんばかりに泡が出てきたので、そろそろひっくり返しどきだな、とおれは英断を下した。ことタイミングに関しては、まさしく英断であったと言わざるをえない。
結局フライ返しの役割は菜箸が担った。
しかし菜箸は、フライ返しの代わりを務めるにはあまりに細く、二本すぎた。そして絶望的に汚かった。ケツの穴に二三回は出し入れされていそうだ。
結果、微塵もひっくり返らなかった。むしろ微塵になった。(西尾維新を彷彿とさせる嫌味な言葉遊び)
パンケーキの可愛げな様相は菜箸が触れる度に、いわゆる残飯のそれへと近づいていった。
この時おれは確信するのだが、菜箸が作れる料理は炒め物と焼肉だけであった。おれは焼肉が好きだ。パンケーキはあまり好きではない。
最終的に、何者かが癇癪を起こしてぐしゃぐしゃに丸めたちょっとでかいパンみたいな一品が完成した。見た目に関して、悪く言えば完全に鼻くそであった。

そして我が家にはメープルシロップの類もなかった。一人暮らしの男性がメープルシロップなんぞ持っているはずがない。
持っていたらそいつはオカマかオネエだ。

味は、やはり、めんつゆや、にんにくの風味がかなり主張強めで、まったくおいしくなかった。それはもうひどい味だった。食えたものではない。

イメージ 1




関係ないが、今日、ダンボールの奥底で発芽したジャガイモ群を見つけて、ひとり泣いた。