尾ひれ100%ブログ

服に7つのシミを持つ男プレゼンツ

パリ旅行記 三日目 食い逃げ編

なんだか不穏なタイトルですが、三日目です。

三日目の予定は、オルセー美術館オランジュリー美術館を片付けることだった。
翌日が第一日曜日で美術館無料開放の日だったために、できるだけ三日目のうちに消化しておきたいという魂胆だった。

朝起きて、ホテルの朝食を死ぬほど食べる。
泊まったホテルに関しては、枕が6個備え付けてあって寝るのに邪魔すぎたことを除けば高級ホテルと言っても過言ではない快適さだった。
ネットで見たときは内装がラブホテルみたいでボッタクリも覚悟していたが、新しくて清潔な良いところだった。
朝飯のバイキングは充実していたし、食べるところも落ち着けたので、今回の旅行ではそこでたらふく食べて昼を抜く食生活にすることで旅費を浮かせることに成功した。
この朝夕二食の習慣はアイルランドに戻ってからも続いており、昼食を作る面倒くささが省かれて実に調子がいい。ゲロみたいな共有スペースで一日二度も料理をしなくて済む。

オランジュリー美術館は、モネが8枚の睡蓮を飾るために建てたというふざけた美術館である。
8枚の睡蓮は良いと感じるのもあったしまあまあなのもあった。さすがに7枚目ぐらいになると飽きてきて頭の中で湘南乃風が歌いだして最悪だった。
階下の作品も全部見た。

満足して顔面てかてかになり、チュイルリー公園のベンチで一休みした。
一服していると寄付金をせびるねえちゃんがやってきて、しきりに投げキッスしてきた。寄付金をお願いする時に投げキッスをするなと思った。

あのあたりはランニングしている人をよく見た。
彼らは石畳の上だろうが普通に走る。何なら革靴でランニングをする。
ダブリナーも見習ってほしい。すれ違う人がジャージと運動靴ばっかりの街は嫌いである。

次はオルセー美術館へ。
おれは馬鹿なので、美術館に行ったら全部の作品を見ないと気が済まないたちだった。
このことが災いして、オルセー美術館では企画展を観ただけで気持ち悪くなってもう帰りたくなった。
ルーブルほどではないが、あの美術館もかなり広い。
疲れていたことに加えてメインの印象派のエリアは既に来日した印象派展で観たものが結構あって、あまり充実感は得られなかった。
勿体無いことをした。

すべて観終わる頃には体調がもう血糖値ダダ下がりのゲロゲロプーでぶっ倒れそうだった。
もう当分絵は良いやという感じになった。完全に計画ミスである。

オルセーを出た頃はまだ夕方になる前だったので、昨日行けなかったエティエンヌ・マルセル駅のほうの古着屋に行くことにした。
時間は余裕がありそうだったので、歩いて向かった。
途中のポンピドゥー芸術センターも興味があったが、その時はもう絵はタクサン!という気持ちだったので行かなかった。
面白い冬物ジャケットがあったが、結局特に何も買わなかった。

まだ時間があったのでどうしようかと思い、明日行く予定だったモンマルトルに行くことにした。
モンマルトルは映画「アメリ」の舞台として知っていた。
また、パリの随所から見られるサクレ・クール寺院がモンマルトルの丘の上にあり、あそこに行ってみたいという思いが常にあった。低い建物ばかりのパリの街ににゅうっと盛り上がって立つサクレ・クール寺院はとても幻想的に見えた。
他にもダリ美術館も行く予定であった。

メトロに乗って丘のふもとまで。
あのあたりは都心から少し離れるし、アダルトショップや風俗店が乱立していて少し治安が悪そうだった。
路地の真ん中に置いたソファにくつろいでいる黒人が何か言ってきたりして怖かった。道の真ん中にソファを置くとは何だか変な治安の悪さである。

美術館は18時ぐらいに閉まってしまうと思ったので、まずはダリ美術館を目指した。
丘を登るのが意外に大変、ちょっとした登山のようで、フカイシを連れてきたら喜びそうだった。
結局道に迷ってダリ美術館には辿りつけなかった。どう考えてもわかりにくすぎた。
フランス人に道を聞いてもウィ!とかフランスパン!とか言うばかりで埒が明かず、まったく意味がなかった。

ダリは諦めて、パリの街を見下ろしながら「今この街で何人の人がオーガズムに達しているのだろう」と考えるやつを日が暮れる前にやろうと、サクレ・クール寺院の広場に向かった。
実際行ってみると意外に木が邪魔だったりして、なかなかうまく見下ろしながら考えるポイントが見つからないまま日は暮れてしまった。

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モンマルトルには賑やかなレストランやパブが結構あったので、気分が良かったおれは入りやすそうな店を選んで、夕食を食べることにした。
これが今回の災難。
座ったのはテラス席。頼んだのはカモの何かと例の1664ビール。
すると出てきたのは頭の悪い大学生がたまに注文する特大ジョッキに入ったビールだった。
でかすぎるし、これ絶対クローネンブルグじゃないだろと思い、いくら?と聞くと20€とぬかしおる。
このくそまずそうなビールにそんな大金を払えるか!と思い、小さいのに代えてくれと言ったが、ウェイターのオヤジは無理だよーン!と言って帰ろうとする。
オイ!オイ!真面目に!と怒鳴ったところ、20€じゃなかった18だったと言い残してオヤジは帰った。
アジア人一人だと思ってなめくさりやがってくそハゲが~ゆるさん!
その直後、マジにトサカにきているところへ似顔絵描くよ?とか言ってくるオッチャンが来て、ものすごい辛辣に断ってしまったのは完全に八つ当たりだった。でも空気を読めよな。
昨日のメトロの罰金に加え、これ以上損をして折角の楽しい旅行気分を台無しにするわけにはいかんという思いに駆られ、気づいたらおれは夜の街へと走り出していた。

夜のモンマルトルの丘を駆け降りる姿はさぞ様になっていたことだろう。
フランス映画っぽい疾走感のあるヴァイオリンのBGMが頭の中で流れていた。

おれは悲しかった。
どうしてこう平然と人を陥れようとするのか。
遠くの国まではるばるやって来た旅行者の楽しい気分をチョットでも想像できないのか。
この世界にはまだまだ愛が足りない。


La Mère Catherine
https://goo.gl/maps/7B6i7RC3o2w
ISISさんここです