尾ひれ100%ブログ

服に7つのシミを持つ男プレゼンツ

アイルランドのメンズファッション事情に就て



ここの日記でも何度か言及した通り、アイルランドには男物の服屋が碌にない。
その代わりに、ジャージ屋さんは掃いて捨てるほどある。

彼らはマッチョなので、今日着る服を考える時間を筋トレに回してきた。
洞窟内に古くから生息する生物が視力を失うように、こうしてアイルランドは男物の服屋を失ったのである。


彼らはスポーツが大好きである。
ちなみに、下図は、世界各国で人気のあるスポーツを色分けした世界地図である。

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アイルランド:ゲーリック・フットボール

何だか耳慣れないスポーツである。私もアイルランドに来て初めて知った。
それもそのはずで、この「ゲーリック・フットボール」とかいうスポーツは、アイルランドに起源を持ち、アイルランドしかナショナルチームを持たない、たいへんドメスティックなスポーツなのである。
ルールはラグビーハンドボールを足して二で割ったような感じである。
試合のある日は、市内がサポーターで溢れ、交通機関が麻痺する。また、その日試合を上映するパブは熱気に溢れて死人が出る。

これと並ぶアイルランドの国民的スポーツに、「ハーリング」というものがある。
ルールとしては、ラグビーと野球を足して二で割り損ねて選手全員に木のこん棒を持たせたようなスポーツである。

アイルランド独自の文化としてクラブ紹介の際も推しに推されていたが、いかんせんあまりにも馴染みがなさすぎる上に、選手たちが木のこん棒をぶんぶん振り回す様はめちゃめちゃ危なそうなので、留学生には当然敬遠されがちな競技である。
実際危ない。ハリーポッターのクディッチに似ているかもしれない。


というふうに、世界を置いてけぼりにする勢いでスポーツ大好きなアイルランド人男性はジャージばっかり着ている。

しかもこういう足にぴったりフィットしたやつを好んで履く。

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男が履いているとやっぱりちょっと気持ち悪いらしく、Facebookで「男はスキニーのジャージを履くのやめろ」という投稿があったのをこのあいだ見た。

このように彼らは、服にこだわりがないかといえば、そうでもない、中途半端な意識を持っているといえるであろう。


アイルランド男性のズボラな性格をよく表した記事を見つけたので以下に引用したい。

アイルランド男性と結婚する良い面と悪い面

(前略)

3. アイルランド人男性は買い物が好きではありません。

彼らはいつも同じシャツを着たり同じズボンを履いたりすることに関して何とも思いませんし、何年も同じ服を着回すということもあるでしょう。

もしきちんと新しい服を来てほしいのであればあなたが買い物に行って服を買ってくるしかありません。ただしその際に彼らは付いて来てくれないでしょうが…

4. アイルランド人男性はあなたの前でおならをすることを何とも思っていません。

「君はおならが好きだろ?」とか言いながらするかもしれませんが、少なくとも笑いに関しては保証されるでしょう。

5. アイルランド人男性はダンスができません。

彼らは踊り方が全く分からないので、もし結婚披露宴で踊る事になっても非常にぎこちないダンスを披露することになるでしょう。

また結婚式前にダンスレッスンを行う事は不可能です。もしレッスンを受けていることを友達に知られたら彼らは非常に恥ずかしい思いをするからです。

6. アイルランド人男性は滅多に感情を表に出しません。

例外は愛するものが死んだときと、お気に入りのサッカーチームが負けた時です。それ以外は彼らはほとんど感情表現をせず、それを治そうともしません。


アイルランド男性と結婚する良い面と悪い面」『海外移住研究家しんえつたいまのヨーロッパトレンド』より(2016/05/06投稿) euro-ijuu.info/euro/?p=2991


内容もさることながら、英語を丁寧に和訳したような一風変わった文体が相俟って、ものすごく笑いを誘う名文である。

この記事でも言われている通り、アイルランド人男性は、ジャージを着なくとも、同じ服を毎日着たりすることを厭わない。

私のホームステイ先は、オヤジが毎日同じジーンズとTシャツであったり、リビングに犬のうんこが放置してあったり、大変不潔であった。
雨が多く、洗濯が億劫なのも理由の一つなのだろうか。否、そんなことは理由にならない。飼い犬のうんちを素手で触れないような奴に生き物を飼う資格はないのである。


ダブリンには、我々の良く知るリーバイストミーヒルフィガーの独立店は存在する。
ラルフローレンやDIESELやG-STARもあるにはあるが、百貨店内のごく小規模なものに止まるので、あってないようなものである。
ちなみにラルフローレンに関してあるのはPOLOレーベルだけであり、DENIM&SUPPLYもRRLも存在しない。
他にあるのは、「極度乾燥しなさい。」とかいう日本語を履き違えた欧州人特有の悪ふざけによって生まれた謎のブランド(これが結構人気がある)とかしかない。

DIESELについて、ここで触れておきたいことが一つある。
ダブリンでは、DIESELの独立店をしばしば見かける。
しかし、それらはすべてパチモンもとい名前を同じくした、我々の良く知るDIESELとは異なるブランドであることに注意されたい。

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あそこはDIESELと書かれたパーカーとTシャツを売ってるだけのセコいブランドである。
アイルランドに存在するDIESELの独立店は、キルデア・ヴィレッジにあるアウトレットだけである。

The Diesel Story, Identifying the two diesel brands in Ireland」(2014/10/30) https://www.addamstore.com/blogs/news/15727784-the-diesel-story-ireland



アイルランド人男性は、その生まれ持った西洋人としての優秀な骨格、またスポーツに対する並々ならぬ情熱により、ファッションについての興味を失った新人類であることがわかった。
その一方で、細身のジャージにこだわりを持ったり、有名ブランドの名を借りたパチモンTシャツの需要が絶えなかったりと、ある種中途半端なファッションに対する興味を見せるなどの一面もあり、今後の変化を見守る必要があることも確かである。


ナイキで細身のスウェットパンツを買ってしまった男  矢吹 丈